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笹川皮フ科
〒536-0015
大阪市城東区新喜多
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TEL06-6931-8009

院長より

しつこい疥癬

日本における成人アトピー性皮膚炎患者の食生活の実態を調べるために食餌調査 を行った。成人アトピー性皮膚炎患者15名(重症6名、中等症9名)291食分、 コントロール群4名(健常者)70食分について栄養学的分析を行った。
調査結果は、患者群では糖質や動物性油脂の摂取頻度が高く、塩分の過剰摂取の傾向がみられた。
一方、緑黄色野菜やビタミン類、ミネラルは摂取不足であった。特にカルシュウムは、 コントロール群とともに摂取不足の傾向が強かった。全体として栄養学的バランスに欠け、 嗜好を優先した画一的な食餌傾向であることが明らかとなった。

●はじめに

日本における成人アトピー性皮膚炎患者の食生活の実態を調べるために食餌調査
を行った。成人アトピー性皮膚炎患者15名(重症6名、中等症9名)291食分、
コントロール群4名(健常者)70食分について栄養学的分析を行った。

●調査期間

1994年6月〜7月

●調査対象

笹川皮膚科通院中の成人アトピー性皮膚炎患者15名 (Langerand重症度判定基準による重症6名、中等症9名) 291食分、コントロール群4名(健常者)70食分。

●調査方法

食餌調査表に1日3回(朝、昼、夜)、1週間の食餌内容を自己記入。

●栄養学的分析

四天王寺国際仏教大学、生活科学科教授、青樹久恵

●結 果

患者とコントロール群の間に食餌内容の違いはあるか。 コーヒー飲料、鶏肉類、緑黄色野菜の摂取頻度において有意差を認める。コーヒ ー飲料においては患者群の摂取頻度が高く、鶏肉類、緑黄色野菜においてはコン トロール群の摂取が高い。

●患者群の食餌傾向に特徴的なことはないか

全体的に嗜好優先型の食餌摂取の傾向がみられ、栄養素のバランスが保たれてい  ない。糖質指向が強く、ビタミンB群の摂取が非常に少なく、緑黄色野菜の摂取  も極めて少ない。全般的に塩分過剰摂取の傾向がみられ、加工食品の摂取が高い  傾向にあり、日常の献立面では画一的な食餌をしている。

●栄養学的なバランスは取れているか、伝統的な日本食生活との差はみられるか

栄養学的バランスの歪みがみられ、菓子パン、麺、米飯類による糖質の過剰摂 取、動物性脂質の過剰と野菜や果物の摂取不足にともなうビタミン、ミネラル類 特にカルシュウムの摂取不足がみられ、伝統的な日本食生活は量的・質的に変化 していることがうかがえた。

●考 察

日本における成人アトピー性皮膚炎は大きな社会問題となっている。
ことに ステロイド外用剤の副作用に関心が集中しており、「ステロイド恐怖症」という 言葉が生まれた。医学的には、日本に特異的で高い発症率を示す青年の顔、頸の露出部位の皮膚炎、 難治性、睡眠を障害する強い痒み、ステロイドの副作用などの問題が一刻も早く解決しなければならない 重要な医学的課題である。しかし、問題の本質はより広範囲なものである。 つまり、社会的側面(患者の権利、医療情報の公開、イ ンフォームド・コンセント)や、日本の医療制度と政策(医療政策、診療報酬、 医薬品副作用情報伝達システム)の面にまでアプローチしなければ真の解決はな いと考えられる。 
日常診療では、アトピー性皮膚炎に対する確立された治療方法は現在ないので、 患者の日常生活における病状悪化因子をできるだけ発見し除去すること、良いこ とは積極的に取り入れることが最も実践的で有効な治療方法といえる。これまで 成人アトピー性皮膚炎と食餌との関連は注目されてはいたが科学的な分析は積極 的に行われてこなかった。今回の成人アトピー性皮膚炎の食餌調査の結果では、 患者だけでなく、一般の人達においても食生活の栄養学的なアンバランスが認め られ、これまでの伝統的な日本食生活が大きく質的に変化していることが明らか となった。

●成人アトピー性皮膚炎患者の食生活の改善すべき具体的な助言と指導

朝食と昼食の改善については、画一的な食餌内容が多いので、できるだけ多くの食品を 少量づつ食べる「多種少量」を心がけ野菜料理を加える。コーヒーより牛乳を多 くとること。ハムやソーセージなど添加物の入ったものは控える。1日一回は緑 黄色野菜(ほうれん草、小松菜、葉菜類)の摂取をすること。梅干しや漬け物な ど塩干物をとりすぎないこと。食品のバラエティーを念頭に入れた食生活を送る ことなどである。

私たちの体を作る元は食餌であることを忘れないで欲しい。

厚生省 平成7年国民栄養調査結果について(概要)